今回は、泉ヶ岳の麓にある「ゼロ村牧場パカラッチョ!!」への訪問レポートをお届けします。
ゼロ村牧場パカラッチョ!!ってどんなところ?
ゼロ村とは、自然素材・自然エネルギーを活用する家づくりを軸に、環境事業、不動産事業、コンセプトショップを展開する(株)建築工房零の運営協力のもと開設した牧場です。
ゼロの社是“地球と暮らそう” の具現化をめざし、自然の中で育まれる循環可能な暮らしへの挑戦・体験の場、それがゼロ村なのです。「お金をかける便利より、汗のかける不便を楽しむ」そんな「健やかな暮らし」を提案していきます。
夏の暑さも落ち着いてきたころで、動物たちにとっても活動しやすい時期でした。現在、ゼロ村には、馬4頭(アース、葉月、ジャック、さくら)、ヤギ2頭(みかん&ライカ)、猫が1匹(にゃあぼ)が住んでいます。
厩舎の裏には川が流れており、夏休み中はパカラッチョに通う子どもたちや保護者の方々が川遊びをしたり、生き物観察をしたりとにぎやかに過ごされていた様子でした。
牧場には、近所に住んでいる方はもちろん、泉区将監などから通う方もいるそうです。
「ゼロ村牧場パカラッチョ!!」は、建築工房零さんの加工場から奥へ進むとパカラッチョへの案内板が見えてきます。
一瞬、ここから先に行けるの?と思うほどの砂利道と急な坂がありますが、下に降りて行くにつれ視界が開けて、自然に囲まれた広々とした場所が現れます。
取材に伺った日は、平井牧場長とスタッフの増田さんが待っていてくれました。
パカラッチョでのお約束
子どもたちが自由に遊びを選択して遊べるように、プログラムによって保護者には「指示語・禁止語を極力使わないでいてみてください」というルールをあえて設けているそうです。
平井牧場長によれば、子どもたちが動物たちと一緒に遊びながら、またはお世話をしながら自然に学び取ることが、好奇心や探究心を刺激するための重要な手段なのだそうです。
大人たちからの言葉が、時として子どもたちが持つ様々な能力やスキルの発達の妨げになっていることもあるとのこと。
パカラッチョのプログラム「馬とくらす」
パカラッチョのプログラム「馬とくらす」は、子どもたちの「馬が好き!」を中心とした、とことん馬のことを学ぶ場。
乗馬だけでなく、馬のお世話もしっかりとやります。”馬と仲良くなるためには?”を考えて、子どもたちも自然と動き出すそうです。
この日も、学校帰りの子どもたちがだんだんと集まり、誰に指示されるわけでもなく馬たちの小屋の掃除から始まりました。
馬たちや一緒に参加している仲間と「おはよう」「今日は取材の人が来てるから緊張するね」「かっこいいとこ見てもらいたいから頑張ろうね」と話しながら作業している様子に、自然とこちらも笑顔になります。
★参加している子どもたちより
平井牧場長は、普段はものすごく真面目!静かに仕事してるよ!
今日のパートナーの「さくら」は緊張しやすいから、他の馬とは別で練習することが多いかな。
学校とか、普段家でできないことができるし、もっと馬好きの友達が増えればいいなと思う。
★保護者の方より
乗馬がしたい!と子どもから話をされて、他のクラブにも見学に行ったんです。
ここは何よりも子どもたちの意思を優先し、尊重してくれる場所だと感じました。
この自然の中でのびのびできることが非常に素晴らしいと思います。馬に対してもすごく優しく接しているのが、見ていてすごく感動します。
増田さん!シニア向けプログラム「PACAサロン」を紹介してください。
シニアの方々にゼロ村で楽しく過ごしてもらおう!というプログラムです。
馬に乗ってもらう際は、いつも馬上体操をしてもらっています。
馬の首もととお尻をポンポンっと軽くたたいたあとに、両手を万歳して腕と肩を回す動作をしてもらいます。
慣れるまでは両手を離す動作は無理せずに行ってもらっています。
PACAサロンに通っている方々からは、猫背や腰が曲がってきたりしていたけれども、背筋が伸びて姿勢が良くなりました。
普段何もないところでも、よくつまずいていたけれど、それも無くなってるんです!との声を聞きます。
馬に乗ることはバランスを重視するので、三半規管が鍛えられているんだと思います。
★参加者のヨウコさん
よほど重大な病気とかでなければ、高齢者ほど体を動かした方が良いと思います。
馬に乗っていると、全身の筋肉を使っているのが分かるし、体が緊張して固まっているところも分かるんですよね。
また馬との無言の意思疎通には、難しさもありますが、楽しさをとても感じています。
そして馬に乗っていると、体温が暖かいんですよね。暖かさにホッとするんです。
Q. 見ている側からは、馬に乗っている時間がとても短く感じるんですが、もっと乗りたい!と思ったことはないですか?
A. そんなことは無いです。馬は生き物だし、とにかくバランスをとることに全神経が働いて、馬が歩くのと同時に前後に体重移動をしているわけです。
自転車に乗るのとは違います。たとえ乗っている時間が5分だとしても、ものすごい運動量です (笑)必死です(笑)(ヨウコさんより)
増田さんがパカラッチョに来てみて何か変化はありましたか?
長くいると、いろんな地域の人と繋がりができるのが楽しいです。
奥の家で、昔は馬を飼っていた家があり、炭焼きをして町中に売りに行ったりしていたとの話も聞きました。
また、パカラッチョに来て、季節の変わり目で馬が体調を崩したり、それを自分が看病したりするうちに、「かわいい!」と感じるようになってきました。
平井牧場長!パカラッチョの今後は?
「馬を中心に、子どもたちに何を伝えられるか?」ということを常に考えて、乗馬だけではなく、様々な学びの機会を作っていきたいです。
例えば「馬でつながる仙台と対馬」。八木山動物園フジサキの杜に、長崎県対馬市の「対州馬」がいるのですが、これをきっかけに、仙台の子どもたちと対馬の子どもたちで交流が出来ないかと閃きました。
馬のことはもちろん、お互いのまちのこと、歴史のこと、一緒に学んでみようという探究学習プログラムとして、令和3年から取り組んでいます。
オンラインが基本ですが、今年は対馬の子が仙台を訪れるまでに発展しました!今後の展開が楽しみです。
また「パカファーム」もその一つで、馬糞を堆肥に利用してちょっとした畑づくりに取り組んでいます。
自然の循環とか、畑づくりを通じて得られる学びがたくさんあると思います。
子どもたちは「お馬さんのために人参をつくろう!」と頑張っていますし、今後畑のサイズも大きくなるかな?と思います。ちなみに、この夏にはトマトが美味しくできました!
平井牧場長、増田さん、そして撮影に応じてくださった子どもたち、ゼロ村の住民の皆さん、ありがとうございました!
現在は「馬とくらす」という教育系プログラムや、高齢者向けプログラム「PACAサロン」の受講者を募集中のようです。