鳥居を包み込む、桜の舞い
仙台市泉区・根白石。田畑の広がるのどかなこの地域に、ひっそりと佇むのが貴布禰(きふね)神社です。
春の訪れとともに、この神社はまるで別世界のような姿を見せてくれます。
境内に立つ数本のしだれ桜が、鳥居や社殿を包み込むように花を咲かせ、一帯をやわらかな桜色に染め上げるのです。
石鳥居に重なる、春の色
石鳥居のまわりには、高さ数メートルにもなるしだれ桜の古木が並び、長く垂れた枝が風に揺れるたび、鳥居の下をくぐる人の肩にふれるほど。満開の時期には、濃いピンクの花びらが春の陽に透けて輝き、訪れた人の心をふわりとほどいてくれるようです。

神社の歴史と、水の神さま
この神社は、もともとは利府の地に祀られていたと伝わります。
その後、塩竈を経て、元禄9年(1696年)、仙台藩四代藩主・伊達綱村の時代に、京都の貴船神社を手本として、七北田川の上流域にあたるこの根白石の地へと遷座されたといわれています。
祭神は、水の神「高龗神(たかおかみのかみ)」。
この地域にとって水は命そのもの。降雨や晴天を祈る場所として、長きにわたり人々の信仰を集めてきました。

社殿と杉木立に囲まれて
しだれ桜は、社殿の背後にもそっと咲いています。
杉の木立に囲まれたその風景は、静けさと華やかさが同居するような、不思議な魅力を放っています。


静かな春のひとときを
この季節だけの風景が広がる、根白石・貴布禰神社。
静かな里山の中で、しだれ桜の花に包まれながら、ゆったりと春を感じてみてはいかがでしょうか。
貴布禰神社(きふねじんじゃ)について
- 所在地:仙台市泉区小角字明神2
- アクセス:市営バス「泉中央駅」発 → 「根白石・住吉台」行き → 「鼻毛橋」バス停下車、徒歩数分
- 御祭神:高龗神(たかおかみのかみ)
- 祭典日:毎年10月第4日曜日
- https://kumanojinja.miyagi.jp/mokuji/kenmu/kifu.html