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さて、正月を迎える準備として、宮城県の各地で伝統的な仙台門松の飾り付けが始まっています。特に仙台城で飾られる門松には、根白石村の8軒の「御門松上げ人(=おんかどまつあげにん)」が材料を提供し、装飾を施していた歴史があります。今回は、この根白石村にゆかりのある伝統門松を紹介します。
今年は、毎年仙台門松を飾る満興寺と、長期休業を予定している仙台フォーラスで飾られる門松の制作過程を覗いてみました。
仙台門松の制作過程を見る
仙台門松は、心柱、松、笹竹、鬼打木、ケンダイ(しめ縄の飾り)で構成されています。門松の直径が3メートルを超える場合には、心柱として用いられるクリの木の代わりにクヌギの木が使われることが多いです。
しめ縄は、ワラをすいて、細いものや逆さになっているものを除き、木槌で叩き柔らかくしていきます。その後、2本のしめ縄で飾りの中央部であるケンダイを編んでいきます。この部分のデザインは職人によって異なり、様々な技法が用いられます。
ケンダイ中央のワラを交差させる部分は職人さんによって違いがあり、前後で交差させる方法、ワラを3本にして編み込む方法等があるそうです。
ケンダイ中央の果実はこちらではゆずを使っており、みかんや干し柿等を使うこともあります。2つのしめ縄が中央で合わさり、少し垂れているところに炭、昆布を紙で包み結んだ飾りがついています。
こちらが満興寺山門の仙台門松になります。
伊達政宗公は、岩出山での鹿狩りや川釣りをして余暇を過ごしていた記録があり、仙台城からの往復の休憩地として根白石に訪れ、満興寺は休憩地としての役割を果たしていました。
戦時下で仙台門松の伝統や資料が失われましたが、近年様々な場所で伝統的な仙台門松が再現されています。
一般社団法人「心のふるさと創生会議」の尽力で宮城県各所に拡がり、今年は21カ所+各施設や個人宅に飾られています。今年の設置場所は、心のふるさと創生会議のホームページで閲覧できます。
今回取材にご協力いただいた熊谷常司さんは、「資料だけでは正確には分からない部分も多い。毎年、色々な地域の仙台門松を参考に試行錯誤しています」と語っています。
作り手の違いによって1つ1つ趣きが異なる仙台門松は、それぞれ色々な創意工夫が見られ独自の魅力があります。文化財として価値のある仙台門松を継承し発展させていく姿には、胸を打たれました。
ぜひ、皆さんも江戸時代から続く仙台門松をご覧になってください。