仙台市泉区根白石の満興寺に伝わる「涅槃絵図」と「地獄極楽図」が、仙台市博物館で開催されている特別展「仏画の力―東北 珠玉の仏教絵画―」に展示されています。
根白石で長く守られてきた仏画が、仙台市博物館で多くの人の目に触れる機会となっています。
今回は、満興寺から教えていただいた話も交えながら、この2つの仏画について紹介します。
文化財調査をきっかけに仙台市博物館へ
今回の展示のきっかけとなったのは、曹洞宗宗務庁による文化財調査でした。
過去に満興寺が所蔵する文化財について調査が行われ、その内容が報告書としてまとめられています。
その報告書を仙台市博物館の担当者が目にしたことをきっかけに、今回の企画展への出品について満興寺に打診がありました。

約300年前に描かれた「涅槃絵図」
今回展示されている一つが「涅槃絵図」です。
涅槃絵図とは、お釈迦様が亡くなられた際の様子を描いた仏画です。横たわるお釈迦様を囲むように、弟子や人々、さまざまな動物たちが悲しむ姿が描かれています。
満興寺の涅槃絵図は享保4年(1719年)に描かれたもので、約300年前から大切に守られてきました。

IZUMI WESTでは、これまでにも満興寺の涅槃絵図について紹介しています。

「悪いことをすると、こんな世界に」 地獄極楽図が伝えてきたもの
もう一つ展示されているのが「地獄極楽図」です。
地獄や極楽の世界を描いた仏画で、満興寺では以前、お彼岸の際に掛けられていたそうです。
「悪いことをすると、こんな世界に行くことになってしまうよ」
そんなふうに、子どもたちにも目で見て分かる形で、善悪や仏教の教えを伝える役割を担っていました。
満興寺・時 泰広さん
地獄極楽図は、怖さを見せるためだけの絵ではなく、仏教の教えを分かりやすく伝える役割も担っていたことが分かります。
一方で、近年ではこの掛け軸を掛ける機会はほとんどなくなっているそうです。
近年では、地獄の描写を怖いと感じる方や、見て気分を悪くされる方への配慮などもあり、満興寺ではこの掛け軸を掛ける機会がほとんどなくなっています。
そうした意味でも、今回、普段なかなか見る機会のない「地獄極楽図」を多くの方に見ていただけることは、とても貴重な機会となりました。
満興寺・時 泰広さん
博物館から、満興寺や根白石を知るきっかけに
お寺に伝わる掛け軸が博物館に展示されることで、作品そのものだけでなく、その背景にある地域へ興味が広がる可能性もあります。
今回の展示について、時さんはこんな思いを話しています。
お寺にある掛け軸を博物館という場所で見てもらうことで、作品そのものを知っていただくのはもちろん、「この仏画はどこのお寺に伝わっているのだろう」と、満興寺や根白石のことを知っていただくきっかけにもなればと思います。
満興寺・時 泰広さん
仙台市博物館で仏画を見ることが、根白石や満興寺のことを知る入口になるかもしれません。
また、仏教そのものに普段あまり触れない人にも、まずは一枚の絵として見てほしいという思いもあります。
普段あまり仏教に触れることのない方でも、まずは一枚の絵として仏画を見て、「なぜこんな絵が描かれたのだろう」「昔の人はどのように考えていたのだろう」と興味を持ってもらう。
今回の「仏画の力」が、仏教や地域に残る文化について少し考えてみるきっかけになれば嬉しく思います。
満興寺・時 泰広さん
長い年月、満興寺で大切に守られてきた二つの仏画。
博物館で実際に見ることで、作品そのものだけでなく、そこに込められてきた意味や、地域で受け継がれてきた文化にも目を向ける機会になりそうです。
特別展「仏画の力」は11月8日まで
仙台市博物館の特別展「仏画の力―東北 珠玉の仏教絵画―」は、2026年11月8日(日)まで開催されています。
満興寺の「涅槃絵図」と「地獄極楽図」も、会場で実際に見ることができます。

詳しい開催時間、休館日、観覧料などは、仙台市博物館の公式サイトでご確認ください。
根白石で長く守られてきた仏画が、仙台市博物館で多くの人の目に触れる今回の展示。
仏画そのものはもちろん、その背景にある満興寺や根白石の文化にも触れる機会になりそうです。

